なぜ、輸入権の立法化が今なのか

今日のシンポジウムはネット参加だったので発言できず。
「Right Now!」6月号に色々と立法化の原因が載っていました。

引用元
「Right Now!」6月号
http://rightnow.zeikei.jp/知財column 新しい権利への攻防」
第2回 コンテンツの変

原因は2つの偶然の結果である。
日本経団連の発足という財界のリストラ
公取委のお家事情

ここで述べられている輸入権賛成派の意見について

1.輸入権がないと日本語の楽曲の海外市場の成長は期待できない
2.国内市場の値崩れをみだすことなく海外市場を発掘できる

※気がついていると思いますが、企業努力という単語は存在しません

■原因その1

レコード業界の輸入権立法化について要望をだしてきた。文化庁では(旧)経団連が反対しているので無理と主張していた
2003秋に日本経団連が条件付で賛成に転じたことから立法化が始まった
条件とは??
1.音楽CDなどに対象を限定する
2.洋楽CDや個人輸入に影響がでないように配慮する
3.権利は一定期間に限る
などを条件として

レコード産業に与える影響が大きく、輸入を制限する
最低限度の措置はやむを得ない

との立場を固め、賛成に回った

※全然、条件が守られてないような気がするのですが、、、、

さて、この背景について詳しい事情が書いてあります。
 ◇経団連と日経連との統合

日経連加盟のコンテンツ関連企業が発足した日本経団連に合流、
2003年夏、日本経団連にエンターテインメント・コンテンツ
産業部会が発足した。ハードメーカ主体の経団連から、コンテン
ツ産業も一定の発言権を持つ日本経団連に衣替えしたのが、輸入
制限権が大きな立法課題になった背景である。制限権創設に否定
的だった財界が、制限創設に前向きの「考えをまとめたことを踏
まえ、消費者利益等の観点を含め、検討を行った」と文化庁・文
化審議会著作権分科会は2004年1月の報告書で記す。企業の
ニーズが同じでも、声高の人の「肩書き」が代われば政策は動く
ものである。ただ、報告書そのものは公正取引委員会が消費者保
護の観点などから難色を示しているため、引き続き同委との調整
を進めるとして最終的な結論は見送った

※実際に検討が行われていたのか疑問なんですが、、、結局、コンテンツを持つ会社が権力を握ったってのが原因のひとつなわけですね。

その後どうなったか、コラムでは

その後、関係者の調整がつき、政府は2004年3月、著作権法改正案を国会に提出した。

とあります。どこを調整したのやら?RIAAの秘密文書を握りつぶして、メジャーとの口約束を証言することが調整というなら、これは間違いなく消費者に対する詐欺でしょう!

■原因その2

政府が国会に法案を提出する際には全省庁からの賛同を得ないと
提出できない。当初、反対していた公取委がなぜ態度を変えたのだろう?

自民党内の「コンテンツ産業振興議員連盟」(会長 自民党 甘利明衆議院議員)発足・輸入権について強く後押し
公取委のお家事情
 ◇要約
  独禁法を改正したいから輸入権について目をつぶった

同委は2004年通常国会での独占禁止法の強化法案提出という
大きな政策課題を抱えていた。ただ、価格カルテルなどを真っ先
に自首した企業には処分を免除する制度の導入を盛ったこの抜本
改正法案に対し、日本経団連は強く反発した。自民党の商工関係
議員も財界に歩調をそろえ、甘利氏ら商工関係議員の多くがコン
テンツ議連のメンバーである。公取委レコード輸入権創設に対
し、黙認に回ることで自民党との二方面衝突を避け、独禁法改正
法案提出に戦線を絞ろうと考えたのかもしれない

なんか、いいわけがましいですねぇ、、、これはコラムを書いた人の考えなわけですが、他にも色々な思惑が複雑に絡み合って今回の立法化に結びついたと述べられています。
できれば、法案にちゃんと消費者保護の文面をいれて欲しかったです。