ELN

パブリシティ権の保護のあり方
 報告者 横山さん
パブリシティ権は明確な権利として認められていない。
知財戦略2004でも法案としてのパブリシティ権について記載。立法化もありえる話

ホリプロの株主説明会のビデオ上映(5分)
原石至上主義
 プロダクションはメーカーのようなもの 
今、輝いているものを見つけるのではなく、将来輝くものを発掘するのが仕事。長く食べていくには一過性ではだめであり、継続して利益をえないといけないし、利益を長く得ることができなければいけない。
コンテンツを生かして収益を得るとは
 一度作ったものを色々な場所で上映・放送することで収益を得る。そのとき働いてなくても利益が保護される。
  1.ライブ <その場でしか得られない体験
  2.メディア <色々な場所・時間で楽しむことが出来る
 タレントも一日は24時間しかない。そこでメディアが必要となる

本題
パブリシティ権判例

別紙参照

人パブは認められるが、物パブは認められない。
パブリシティ権は人格から派生した財産権。物には人格権がないのに立法なしでそこまで認めると法的安定性にかけるから問題。
では、パブリシティ権を不競*1に乗せるのはどうか?
>現行では商品等表示の要件を満たすことができない

議論開始
さてさて、この勉強会は出席者のほとんどが弁護士や弁理士など先生方。しかも、知財専門の大先生とかいらっしゃるわけで・・・普段ではみれないような議論が聞けました。

・意見その1
判例だと・・
 >物に/広告に付加する肖像はだめ
 >出版の場合・・・専ら要件*2を満たさない
ギャロップレーサー事件では
 ゲームの面白さが主であり、従となる馬の名前だけでは売れない

・反対説
 専らという要件を認めるか?否か?
 商品への無断使用というのは専ら要件でなくてもよいのでは?
 著作物に対しては表現の自由から専らを厳格に適用しないといけない

例えば、著作物でミッキーマウスについて述べた論じる対象となった場
合、 ミッキーマウスという単語は文書中に出現します。これまで含む
のはおかしい

・意見その2
 専らの立証責任も問題になるのでは?

・意見その3
 そもそも使われ方ごとに基準が違う。確かにゲームにおける実名は従属部分であるが、よりリアリティが増し、非常に価値を高める効果をもっている。*3
 ダビスタを人間にしたばあい、、、
実名選手というのはゲームの面白さに格段の差がある。その事実認識であれば(?)顧客吸引力を使っているから侵害であり、専らでなくていい。もしくは、売れ行きに差があるという点で専ら要件を満たす。

お題変更
松田弁護士
 出版物で氏名や肖像を記事として使った場合に顧客吸引力といった観点で考えると効果がある。
山崎弁護士
 パブリシティ権はどこまで要求できるか、10年前に議論した。残念ながら、報道目的とされた場合はおよばない。
 しかし、芸能人のスキャンダル記事によって週刊誌は売れ行きが違う。これは明らかにパブリシティ権であるが・・・書くなというのは表現の自由で難しい
参考:北方ジャーナル事件

お題変更
 パブ権は財産権だとしたら不競でなんとかできないか?
牛木弁理士
名古屋高裁を生かして独立した財産権であるという考え方をアピールできないか?人格権と不競の中間をいくような著作物+パブ権だと区別して考えれない?

お題変更
欠落している問題
 譲渡性の問題*4
  譲渡はあるけど相続がありえるのか?
  現行法では商標法による登録・保護もある程度ありえる
  商標法でも不競と同じく、出所表示・商標的使用という論点で落ちるところがでてくる。

会場内でアンケート パブ権は相続できるか?
 賛成:反対 7:3で賛成多数
単純にできるかどうかというのは・・・その前の使われ方が関係ある
ポパイは商標などとあわせてライセンスグループ的にまとめて相続しているとか考えないといけない。

フリーにつかっていいというのはおかしいけど、、、何らかの法的保護が必要。立法が必要。
パブリシティ権はいつから生じるのかって話もある
 >経済的に得する人がいれば権利が生じていいのでは

有名人はプライバシー権は有名になるにつれて失われていく。パブリシティ権はその失われたプライバシー権のかわり。死んでなくなってもいいような

物パブについてはたまたま、名古屋と東京で割れただけであり、今後どうなるかわからない。最高裁判例がでたといっても問題解決されていない

映画とかゲームに第3者の所有物が写りこんでしまった場合どうするのか?>10月の勉強会でもっと詳しくやる

 実務ではゲームに出てくる実在の車とか人物は契約をとって処理している。

横山弁護士
 パブリシティ権民法709条の不法行為ではないか?
 指し止めはみとめないが不法とした判例はいろいろある。
 エンジンシンフォニー事件
 業界慣行を無視して、一般的同業者がやっていることをやらなかった場合、709に問題にならないか?
 慣行をステップにして利益侵害しているだけであり、さらに上位の権利として差し止め請求権で考えればいいのではないのか??

最後に立法論について
テレビ局 斉藤さん
 報道による氏名とか
  メディアとしてやる場合、ワイドショーはダメ?ニュースはあり?どこからどこまでがパブ権?
 例示された立法案でも中田事件はグレーだろうね

肖像権みとめられても差し止めできない。不競に含まれれば止めれる
不競は一番知的財産権の一番弱い権利。自分にいい積極的権利がない。その権利の中身は何か?というものが作るためにちゃんとした、要件から行使まできっちり決めるのがいいのでは?

立法提案では防げない部分
例えばGoogleの商標をキーワードにした検索結果、競合他社の商品をキーワードとして自社のHPや製品を検索のトップにするのは対象に含まれません。*5

次回 7/29 職務発明35条とエンターテイメント

今後の予定
コンテンツ政策ファイナンスについて (来年の3月予定)
・例えば、ある映像をつくるときの写りこみ、許されている範囲などの著作権引用 引用にならない使い方
周辺の小さなプライバシー・パブ権・まわりの権利や利益についてどこまで許されるのだろう?<新しい権利
・実務内での限界ぎりぎりの部分について

*1:不正競争防止法

*2:おにゃんこ判決参照

*3:ドット絵でも名前がついたら脳内変換されますからね〜。

*4:黒夢事件では認められた

*5:ちょっと、先生方がおられるなかで発言するのは怖いので終わった後で横山先生にこっそり質問してみました